どもー!シゲルでーすっ!
このサイトは高音発声(特にミックスボイス)について色々と情報提供していますよぉ!!
記事に関しては【茂解説】と【一般説】の2種類があり、コンセプトがちょこ〜っと違います。
【一般説】この世の中に発信された様々な情報から、信憑性の高い物を集約して記事にしていただいたというパターン。【茂解説】シゲルの経験から思ったことを好き放題言いまくるといったパターン。といった感じになっております。
どちらも面白いので是非ご覧くださーい!
「高音の曲をもっと思い通りに気持ちよく歌いたい!」「今よりも歌唱力を伸ばしてハイレベルな曲に挑戦してみたい!」など、歌に対する願望って尽きないものですよね。
そんな私たちの強い願いを叶えてくれるのがミックスボイス。使いこなすことが出来れば、あんな曲もこんな曲も歌えるようになるかもしれません。
とは言っても、「色々調べてみたけど、どんな歌声がミックスボイスなのかイマイチ分からない・・・」とか、「どんな歌手をお手本にして研究すれば良いのかな?」といった疑問を抱えている方もいらっしゃることでしょう。
そんなもやもやクエスチョンにお応えすべく、この記事では日本人の歌手にフォーカスして、ぜひ参考にしていただきたいアーティストの方々をご紹介していきますよ!
実は、優れたテクニックでミックスボイスを操る日本人歌手は星の数ほど大勢います。J-POP・邦楽ロック・演歌など、ジャンルを越えてあらゆる歌手が活用しているんです。
ここでは、筆者の独断と偏見に基づいて厳選したごく一部の方々と、それぞれのアーティストの技が大いに発揮されている楽曲もあわせてご紹介していきますので、気軽に読み進めてみて下さいね。
では早速ヒアウィーゴー!
ミックスボイスとは?簡単におさらい
凄腕歌手の方々についてお勉強していく前に、ミックスボイスとは一体どんなものなのか、改めておさらいしましょう。
世間一般的には、『地声で歌えば喉が限界を迎えてしまいそうなほど高音の曲でも、さほど力を入れずにしっかりと芯のある声で歌える』イメージがあるかと思います。
プロ歌手の方が歌っているのを見ると、それほど力を入れている様子ではないのに、スパーンと突き抜けていくような高音を力強く発声していますよね。
どのような仕組みでミックスボイスを出せているのか気になりませんか?一緒に答えを探しに行きましょう!
私たちが声を出せる仕組み
私たちの喉には、『声帯』という対に並んだ二つの筋肉が存在します。
呼吸をしている時は門が開くようにパカッと筋肉の間に空間が広がるのですが、話したりなど声を出している時はピタッと閉じて、息が通り抜ける度に筋肉のスキマが振動しぶつかり合うことで音が出るようになっているんです。これが基本的な動き。
歌うときは、低い地声から高い裏声に変化するにつれ、更に複雑な動きが加わります。どのように変わっていくのか見てみましょう。
【地声で歌っている時】
声帯が全体的に大きく震えているため、しっかりした声を出せる。楽に話している時とそれほど大きさも変わらない。筋肉に分厚さがある。
【地声→裏声に変化する時】
声帯をゴムのように伸び縮みさせる輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)と、分厚さをコントロールする声帯筋の働きにより、音程が高く上がるごとに、筋肉がビヨーンと伸びて厚さもどんどん薄くなっていく。二つの筋肉が振動し合う面積が少なくなるため声質は弱々しくなる。
【裏声で歌っている時】
筋肉の厚さを少しでも保とうとする力が限界を迎え、声帯が薄く長く伸びきる。声質は一気に薄くなってしまう。
『声帯閉鎖』が大事なキーとなる
山下調査員が言っているように、地声から裏声に変化していく過程に大きなヒントがあるんですよ。
どんな高音でもしっかりと太く芯のある歌声を実現するには、音が上がるにつれ声帯が伸びていく力をキープしつつ、対に並んだ二つの筋肉をできる限り分厚くし、より広い面積でピッタリと合わさり閉じる力をいかに強化するか、がカギとなります。
このように、ビヨーンと伸びていく動きと、分厚くしようとギューッと縮もうとする動きを同時に上手く操ることで、歌手の方々は理想的なミックスボイスを使いこなしていると言えるでしょう。
ちなみに、どこまで閉鎖の力が強まればミックスボイスと言えるのか、というのに明確な決まりはありません。歌い手が持ち合わせている元々の声質や歌唱法、閉じる動きの度合いをコントロールすることによって、あらゆる魅力的な音色が生まれています。
更に詳しく声帯閉鎖のシステムを知りたいという方は、ぜひこちらを読んでみて下さい!細かなところまで丁寧に解説されたとってもオススメの記事ですよ。
関連記事①:[一般説]ミックスボイスで声帯閉鎖するって何?高音発声を調査!
次章から筆者オススメの歌手の皆さんをご紹介しますよ!お楽しみに。
ミックスボイスをトレーニングしたい!もっと歌唱力を磨きたい!という方はこちらも一緒にご覧くださいね。カラオケライフをさらに盛り上げてくれる情報がたくさん載っていますよ。
関連記事②:[一般説]ミックスボイスは裏声?地声?初心者にもできる?高音発声を調査!
関連記事③:[一般説]高音で歌える男性はモテる?ミックスボイス発声調査!
ミックスボイスを操る歌手:男性編
やっとこさ、お待ちかねのコーナー!先述でもお伝えしましたが、ここからは筆者の偏見と独断をもとに、注目の歌手をご紹介して参りますよ。個人的な見解がかなりの割合で織り交じっていますので、あくまで参考に読み進めていただければ幸いです。
では早速。日本でミックスボイスを使いこなし、大活躍している男性歌手にはどんな方がいるでしょうか?さらっと見てみましょう。
優れたミックスボイスを操る日本人歌手(男性ボーカル・敬称略)
- 稲葉浩志(B’z)
- 桜井和寿(Mr.Children)
- 大橋卓也(スキマスイッチ)
- 岩沢厚治(ゆず)
- CLIEVY(C&K)
- ATSUSHI(EXILE)
- Taka(ONE OK ROCK)
- 川上洋平(Alexandros)
- 井口理(King Gnu)
- 大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)
- 松崎しげる
- 小野正利
- 久保田利伸
- 西川貴教
- 氷川きよし
- 平井堅
- 秦基博
- 三浦大知 等々・・・
他にもたくさんたくさんいらっしゃいますが、キリがないのでこの辺でご勘弁ください。
というわけで、アメイジングな3人のアーティストを掘り下げていきましょう!
藤原聡(Official髭男dism)
ここ近年、世代を超えグングン人気が伸びているOfficial髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)。島根大学の軽音楽部で切磋琢磨し合った4人が結成したピアノポップバンドです。
アメリカのロックミュージックや吹奏楽、ヘヴィメタルなどあらゆるジャンルの影響を受けた高い音楽性が評価されていますね。
ちなみに・・・不思議な文字並びのバンド名はこんな由来だそうですよ。
愛称は「ヒゲダン」。このバンド名には髭の似合う歳になっても、誰もがワクワクするような音楽をこのメンバーでずっと続けて行きたいという意思が込められている。
藤原聡さんは作詞作曲、ボーカル、ピアノを担当していますが、歌声にはどんな特徴があるでしょうか?簡単にまとめてみますよ。
軽やかで息がスーッと流れていく綺麗な声質の中に、少しざらついたハスキーな音も混じっている。そもそもの地声も高い。声帯の閉鎖がやや強く、息が行ったり来たりする圧力も大きいため、個性的かつパワフルなミックスボイスを使いこなしている。
調査員二人がやたら褒めたたえていますが、筆者も全く同感です。ここで、ぜひしっかり聴いて欲しいおススメの曲をお教えしますよ。
【Pretender】
2019年5月5日に発売された2ndシングル。第70回紅白歌合戦でも披露され、ヒゲダンの代表曲とも言える。pretenderは「~のふりをする人」という意味。
【宿命】
2019年「熱闘甲子園」テーマソング。ブラスバンドを用いたパワフルなアレンジが壮大さを醸し出している。
【Stand By You】
リズムやバンドアレンジにジャズ・ゴスペルの影響を感じさせる、少しアダルトな曲。ピアノが奏でられる美しいイントロに始まり、サビを際立たせるハンドクラップが高揚感を上げてくれる。
【異端なスター】
アルバム「レポート」に収録。聴いていると思わず体を揺らして踊ってしまいそうになる曲。ファンからの反響がとても大きく、ライブでは定番の一曲となっている。
ご紹介した曲以外にも、おすすめしたい曲が山ほどあります。CD音源もさることながら、ライブ盤も藤原さんの超絶技巧を存分に味わうことが出来ますので、ぜひ色んな曲に耳を澄まして聴いてみて下さいね。
草野マサムネ(スピッツ)
2人目はスピッツのボーカル担当、草野マサムネさん。歌手としてのキャリア30年を越えてもなお、美しく透き通った高音ボイスを保ち続けるという奇跡の才能を発揮し、大活躍しています。
パンクやヘビメタバンドでの経験を経て、『ロビンソン』や『楓』など、感動的なハイトーンの曲を生み出す草野マサムネさんの歌唱法にはどのような特徴があるでしょうか?
かなり特殊な声質の持ち主で、話し声や歌うときの地声も高音域。息が多めでややハスキーだが、さらさらと流れていくような美しい歌声。低音域~高音域まで違和感なく繋がるよう、地声で出すような音域でも声帯閉鎖の筋肉を操り、ミックスボイスを少しずつ織り交ぜている。
そんな草野さんの神がかった才能をビシバシ感じさせる曲はこちら!
【青い車】
1994年7月20日に発売された9thシングル。ベストアルバムにも収録。「この曲が無かったら今のスピッツは無かった」とメンバーに語られている曲。数ある楽曲の中でも、ミックスボイスを使っていることが特にわかりやすく聴き取れる。
【8823】
ロックサウンドを押し出したアルバム『ハヤブサ』に収録。『三丁目の夕日』の著者、西岸良平さんの作品に出てくるキャラクターがモチーフとなっている。さわやかな疾走感があり、ライブでも人気の曲。
【ガーベラ】
9.11同時多発テロ事件の影響を受け制作されたアルバム『三日月ロック』に収録。ガーベラの花言葉は「神秘」。幻想的で浮遊感のあるサウンドが、ゆったり空間に溶けていくような心地を感じられる。
【春の歌】
コカ・コーラ「アクエリアス」や、ロッテ「ガーナチョコレート」のCMソングとして起用された。様々な困難を乗り越え、思い描いていた「夢」へと新しく突き進んでいくという一曲。暖かな春風を感じさせるバンドアレンジが前向きな未来を暗示させる。
調査員二人が解説してくれていますが、草野さんが持ち合わせている歌唱力がいかにハイレベルなのか、耳をかっぽじって聴いていただきたい!
そして筆者が個人的に推したいのは、草野さんの声の揺らぎ。ビブラートは極力抑えられていますが、それでも自然に出てしまう声の揺らぎには人間らしさを感じ、魅力が増して聴こえること間違いなしです。ライブでは特に分かりやすいので興味のある方はぜひ!
玉置浩二(安全地帯)
男性ボーカル3人目は大ベテラン玉置浩二さん。日本一の歌声と言われ、アメリカのビルボード誌では「アジアで最高のボーカリスト」と評価されています。
歌唱力の高さはもちろんですが、ソングライティング能力、リズム感、即興性、感情表現などなど・・・いずれにしても圧倒的に一流で天才的な、日本音楽界の神様のような歌手です。早速、歌声にはどのような特徴があるのか見ていきましょう。
話し声・地声は少し低め。息の多い発声で、ざらついたような音が混じる。体のあらゆる方向へ声を響かせ(近年は下方向へ大きく深く響く傾向にある)、ウィスパーボイス・地声・ミックスボイス・ファルセットの操り方はパーフェクト。また、一曲の中で声量を大きく上げ下げしコントロールすることで、感情の押し引きの表現がなされ、聴衆へ感動をもたらしている。
あまりにも神の領域過ぎて筆者も言葉が詰まりそうですが、ぜひ素晴らしい世界観に浸っていただくべく、ここでもオススメの4曲をお教えしましょう。
【君がいないから(安全地帯)】
数多く発表されているバラードの中でも、「特に傑作!」と評判の2012年の作品。玉置さんの歌唱力が存分に発揮され、親しみやすいゆったりした曲調が幅広い世代のファンの心を掴んでいる。
【STEP!(安全地帯)】
『安全地帯ⅩⅡ清く正しく美しく』に収録されている曲。グルーブ感満載で楽しく跳ねるような明るいテンポに合わせて、地声・ミックスボイス・ファルセットを次々と変換させるスゴ技が聴きどころ。
【納屋の空】
生まれ故郷への思いがモチーフとなったアルバム『カリント工場の煙突の上に』に収録されている一曲。ダイナミクス(声量の上げ下げをコントロールし、抑揚をつける)効果を存分に感じられ、聴いているものの涙を誘う展開が素晴らしい。
【ワインレッドの心(安全地帯)】
玉置さんがボーカルを務める「安全地帯」の代表曲。長い年月を経てなお愛される楽曲で、年代ごとに録音された別バージョンも存在する。井上陽水さん、布施明さん、佐藤竹善さん、高橋真梨子さん、椎名林檎さんなど名だたるアーティストがカバーしているので聴き比べてみてほしい。
かろうじて4曲を厳選しご紹介しましたが、ぜひ聴いていただきたい、クリスタルのような楽曲たちがわんさかあります。玉置さん沼にハマりたいという方は、コンプリートを目指して研究をどんどん深めてみて下さいね。
ミックスボイスを操る歌手:女性編
次は女性編。女性は男性と比較するとミックスボイスが分かりづらいと言われることもありますが、ずば抜けたテクニックを操り、心震わす感動をもたらしてくれるアーティストが多数活躍しています。
こちらでも、どんな方々がいるか簡単に見てみましょう。
優れたミックスボイスを操る日本人歌手(女性ボーカル・敬称略)
- KEIKO(globe)
- 中納良恵(EGO-WRAPPIN’)
- 越智志帆(Superfly)
- 吉岡聖恵(いきものがかり)
- ACAね(ずっと真夜中でいいのに。)
- アイナ・ジ・エンド(BiSH)
- 岩崎宏美
- 広瀬香美
- 浜田麻里
- YUKI
- MISIA
- 水樹奈々
- LiSA
- Salyu
- 平原綾香
- 絢香
- 中村佳穂 等々・・・
Aimer
まず1人目はAimer(エメ)さん。日本音響研究所の鈴木松美所長(当時)から、「振幅ゆらぎと周波数ゆらぎが同時に発生している、非常にまれな声の持ち主」と評されるほどのアーティストです。
15歳の頃、歌唱によって声帯を激しく使い過ぎてしまったために全く声を出せない半年間を過ごした彼女ですが、この損傷によって今の歌唱法を確立させました。現在も完治していませんが、歌声を維持するために傷をあえて残したままとなっているようです。
そんなAimerさんにはどんな特徴があるでしょうか?掘り下げてみましょう。
独自性のある、非常に神秘的で澄んだ声質で、地声は少し低め。声帯を閉鎖させる力が弱く、息がかなり漏れている。ミックスボイスでは完全に声帯を閉じてはいないが、喉の損傷をカバーする彼女独自の発声法で、息の多い強めの声を出すことが可能となっている。また、曲によって声を響かせる方向や鋭さを自在にコントロールしているため表現の幅が広い。
ではでは、音楽業界にもファンが多いと言われるAimerさんの楽曲群をどうぞ。
【六等星の夜】
ファーストアルバム『Sleepless Nights』に収録された珠玉のバラード。Aimerさんが所属するクリエイター集団「agehasprings」がプロデュースを手掛けた。六等星とは肉眼でかろうじて見ることのできる暗い星のこと。
【insane dream】
Takaさん(ONE OK ROCK)が楽曲提供を行い、コーラスも担当。ハードで重厚感のあるロックサウンドの中で、揺らぎながらも芯のある強い歌声の存在感が際立つ一曲。ミックスボイス~ファルセットの自在な変化が美しい。
【誰か、海を。】
TVアニメ『残響のテロル』エンディングテーマ。シンガーソングライターの青葉市子さんが作詞、『マクロスF』など数々のアニメ・ドラマ・映画音楽を手掛ける菅野よう子さんが作曲している。少しずつ深い海の底に堕ちていくような不穏なサウンドと、神がかったボーカルの融合が見事。
【蝶々結び】
野田洋次郎さん(RADWIMPS)が楽曲提供とプロデュースを手掛けた楽曲。恋愛をちょうちょ結びに例え、2人の気持ちの揺れ動きをかなり優れたメリハリをつけて表現している。この楽曲が収録されたアルバム『daydream』は第9回CDショップ対象準大賞を受賞した。
余談ですが、筆者個人的には『誰か、海を。』における菅野よう子×青葉市子×Aimerという音楽界の天才三つ巴がとてつもなくたまりません。3人が作り出す音楽がそれぞれ大好きなので、コラボレートすると知ったときは激しく喜んだものです。
というのは置いといて、歌うまを目指すにあたってぜひ聴き込んでいただきたいのはもちろん、なかなか寝付けない夜にモヤモヤする頭と心のお掃除をするのにもピッタリのAimerさん。優しい歌世界に興味がある方はぜひ酔いしれてみて下さいね。
椎名林檎(東京事変)
女性部門2人目は椎名林檎さん。東京2020オリンピック・パラリンピック開閉会式の基本プランを作る「4式典総合プランニングチーム」メンバーの一人に選出され、大きな話題となりましたね。
かなり細かなところまで計算されたソングライティング、唯一無二の歌詞世界、今まで誰もなし得なかった革新的なアイデアを発想する力と、潜在能力を引き出して魅力を最大限活かすプロデュース力を持つ彼女。
音楽界に『椎名林檎』という新たなジャンルを築き上げ、後世のアーティストにとてつもない影響を与え続けています。
ではでは、彼女の歌声の特徴を掴んでいきましょう。
聴けばすぐに椎名さんと分かるほど、かなり個性的で金属のような声質。話し声・地声はやや低め。ミックスボイスは基本的に声帯を閉鎖させる力が強く、ザリザリ鳴るような音が入っているが、曲によって閉鎖の度合いを変化させ、明るく可愛め、深く響く太い声、息交じりのセクシーな声など、声色を多彩に使い分ける。フォール、しゃくり、ビブラート、シンコペーションなどを多用し、楽曲に独特な効果をもたらすテクニックにも長ける。
山下調査員の禁断症状が出る前に、ごくごく一部ですが椎名林檎さんによる色とりどりの楽曲をどうぞ。
【閃光少女(東京事変)】
東京事変の4thアルバム『スポーツ』に収録され、ベースを担当している亀田誠治さんが作曲を手掛けた。光が駆け抜けていくような速いテンポで、人生の大切な瞬間はすぐに過ぎ去るという変えがたい真実を表現している。英語詞ver.の『put your camera down』とは歌唱法のアプローチが変わるため、比較してみるのもオススメ。
【罪と罰】
人気絶頂さなかの2000年に発表された。絶叫とも取れるような、強烈にかすれて引きつったボーカルと巻き舌がお見事な一曲。ライブや音楽番組で何度も演奏されており、近年では空間中に深く響き渡るような歌唱で披露されている。ボーカルの可能性を広げた表現の振り幅の大きさを実体験して頂きたい。
【IT WAS YOU】
カーペンターズ『Close to You(遙かなる影)』などで知られるアメリカの偉大な作曲家、バート・バカラックから提供された楽曲。際立ったテクニックが極力抑えられた、飾り気のない素朴なボーカルが秀逸なメロディーを切なく引き立てている。椎名さん演奏の絶妙なピアノソロも必聴。
【ありきたりな女】
ソロ5作目のアルバム『日出処』に収録。女性が人生で幾度も迎えるステージ(初潮・恋愛・結婚・出産・・・)を明るく堂々としたボーカルで力強く歌い上げている。空高く突き抜けるようなサビ部分のミックスボイスや、1番のメロ部分など歌詞の語尾における息の抜き方はぜひ身に付けたい。
ファンクラブ会員でもある筆者としては、やはり聴いて欲しいのはライブ。CD音源もかなり贅沢で味わい深いのですが、生演奏の場ではさらにアレンジがグレードアップされ、椎名さんの歌唱にも力が増し、濃密な音楽世界を味わえますよ。
彼女の類いまれな技術を、良い意味で生々しく細かなニュアンスまで存分に学ぶことも出来ますので、未体験の方はちょこっと足を踏み入れて孤高の林檎ワールドに浸ってみて下さいね。
島津亜矢
いよいよラストは演歌歌手の島津亜矢さん。3歳から演歌を歌い始め、幼少期にコンテストで獲得した優勝トロフィーは100本以上。15歳のとき『袴をはいた渡り鳥』でデビューを果たしました。
衝撃的なモンスター級の歌唱力を持ち合わせていることから、「歌怪獣」というニックネームでもおなじみですね。
30年以上に渡り活躍している島津さんですが、近年では演歌のみならず洋楽、J-POP、ジャズ、アニソンなどあらゆるジャンルを飛び越えたカバーが心を震わす感動を巻き起こし、涙を流す人も多数。
コンサートだけでなく紅白歌合戦や音楽番組でも披露され、カバー曲のみ収録されたアルバムも制作しているんですよ。
そんな新たな挑戦をし続ける、島津さんの歌声の特徴を見ていきましょう。
地声でもやや高めの澄み渡った声質で、基本的に息の流れがとにかく綺麗。ミックスボイスではこの息の流れをキープしながら声帯をしっかりと閉じ、歌声が高音でも伸びやかに強く響き渡る。音程やフレーズによって声帯と息の流れを美しく調整することにより音の強弱や言葉のニュアンスを作り出し、一つ一つの歌詞を丁寧に歌い上げている。
先述でも少しお伝えしましたが、最近ではカバー曲で人気の火がさらに盛り上がっている島津さん。特に中島みゆきさんやホイットニー・ヒューストンさん、宇多田ヒカルさんの楽曲がきっかけで彼女のファンになる人が増えていて、実は筆者もその一人なんです。
この記事では島津さんによるカバーにフォーカスして、厳選したいくつかの曲を一緒に味わってみましょう。
【Saving All My Love For You】
ホイットニー・ヒューストンさんのアルバム『そよ風の贈りもの』に収録されている楽曲。太く鳴り響く様な低音と、突き抜けるような高音のファルセットがホイットニーさんの歌唱を思わせる。それに加え、いかに島津さんらしいオリジナル色を加えるかをかなり研究されていることが伺える一曲。
【DESIRE-情熱-】
中森明菜さんによる大ヒット曲のカバー。原曲よりも高いキーで、しかもきつさを垣間見せることなく堂々と歌いこなしている。息を多めに吐き、空気を抜くようにコントロールして歌うことでセクシーさを演出。強めに一本調子の曲にせず、ひそかに弱さを抱える女性を描くよう程よくニュアンスを加えて、主人公の人間性を印象付けている。
【誕生】
島津さんが敬愛している中島みゆきさんの曲。地声~ミックスボイス~ファルセットの切り替えが非常に美しい。神がかった息のコントロール技術により、哀愁と温かみが同居するフレーズが次々に生み出されており、島津さんの長所を曲全体で思う存分に味わうことが出来る。
【魂のルフラン】
大人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』劇場版の主題歌で、高橋洋子さんによる楽曲。少し裏声が混じったような歌い出しは神秘性に溢れている。高橋さんの原曲と比較するとワイルドな力強さが増しているが、楽曲の新たな魅力を引き出す歌唱となっている。
詳しくご紹介できませんでしたが、スターダストレビューや沢田研二さん、先述でご紹介した玉置浩二さんなど、男性ボーカルの曲も島津さん色に染め上げられた一級品のカバーとなっていますので、ぜひ参考に聴いてみて下さいね。
まとめ
ここまでボリュームたっぷりにお送りして参りました。お疲れのところ読み進めて下さり、ありがとうございます!
歌を上達させたければ発声トレーニングもとても重要ですが、それと同じくらい外せないのが「良い音楽をよく聴き込み、耳を鍛える」こと。それを成すにはより良質な音楽を幅広く取り入れていく必要があるんです。
もし好きな歌手や目指したいアーティストがいれば、その人が影響を受けたりよく愛聴している音楽にさかのぼってみたり、自分が今まで聴いたことのないジャンルに挑戦したりすると、新たな発見や、歌に対する疑問の答えに巡り合えるかもしれませんよ。
日本のみならず、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアなど世界各地の音楽を沢山聴いてみるのも面白そうですね。
この記事では6人の日本人歌手をご紹介しましたが、これをきっかけにあなたの音楽の引き出しを増やすことが出来れば幸いです。
楽しく幸せな音楽生活をともに送りましょう!