どもー!シゲルでーすっ!
このサイトは高音発声(特にミックスボイス)について色々と情報提供していますよぉ!!
記事に関しては【茂解説】と【一般説】の2種類があり、コンセプトがちょこ〜っと違います。
【一般説】この世の中に発信された様々な情報から、信憑性の高い物を集約して記事にしていただいたというパターン。【茂解説】シゲルの経験から思ったことを好き放題言いまくるといったパターン。といった感じになっております。
どちらも面白いので是非ご覧くださーい!
高音域を歌っている時に突然コロッと気の抜けた非力な歌い方になってしまった経験はありませんか?人前で歌っている時になってしまうととても恥ずかしいですよね。
「今日こそは最後までパワーボーカルを貫くぞ!」と意気込んで歌い始めても、一度力をふっと抜いてしまうと先程まで出ていたハリのある声はどこへやら。
曲の終盤でかっこよくシャウトする予定が驚くほどの意気込みの無さに自分でもびっくり。
アウトロ共に入り乱れるのは拍手喝采!ではなく同情の気持ちが込められたまばらの拍手と苦笑。
言い訳がましく「今日は調子が悪いんだ」と言わんばかりの大げさな咳払いを済ませてそそくさとマイクを置き、歌う前より一回り小さく着席する自分に言いたい。
こんなはずじゃなかった・・・もう早々に帰りたい。
どうしてこのような事が起こってしまうのか、高音域でも安定したハリのある歌い方ができる方法が無いか調べてみたところ「ミックスボイス」というキーワードが浮かび上がってきました。
しかし「ミックスボイス」にまつわるページは定義が曖昧で持論も多くて初心者にはどれもとっつきにくいものばかり。
せっかく打開策を求めて調べたのに答えに有り付けないのは勿体ない!そんな思いを提げて、メジャーデビュー経験や歌の講師としても実績のあるプロの歌い手みはるさんに聞いてみました。
なぜ情報が色々まじって飛び交ってるの?
声帯は目で確認できない
歌の話をする以上声帯の話は付いて回るものですよね。でも厄介なのは歌に必要不可欠な声帯の動きや状態を「目視では確認できない」という事なんです。
声帯は”のどぼとけ”を形成する甲状軟骨の中にある1~1.5cm程度の器官です。声は、左右二本の帯状の声帯が振動して生じます。男性の会話では毎秒100回、女性では毎秒250回も声帯が振動します。この、楽器の弦のような声帯の振動に異常があると、嗄声(させい、声がれ)を生じます。
声帯の仕組みを想像した時、声を発するときだけ声帯がパカッと開いて、発声が終わると閉まる、いわば「ON・OFFスイッチのはっきりしたフタ」のようなイメージを持っていらっしゃる方も多いかと思います。
しかしそのイメージは間違っていて、実は声帯を閉じていてもきちんと声を出す事ができるのです。
歌う前のウォーミングアップの一つに「リップロール」という練習方法があります。
これは唇を閉じた状態で息を吐き出すことで唇が震えて音が出るのですが、声帯もこれと同じ原理で体内から吐き出される息と声帯の振動によって声が出ているので閉じていてもちゃんと声が出せるのです。
関連記事:[一般説]高音を楽に出せるような練習方法は?ミックスボイス発声調査!
次に声帯の閉じ具合や声帯の震わせ具合がカギとなるのですが、先程お伝えしたように声帯は目で確認できる場所にありません。
「今声帯が閉じたよ! 今の開き具合が何%だからこれがミックスボイスだよ!」と客観視や数値化ができれば分かりやすいのですが、生憎そうはいかない訳です。
突き詰めると筋肉の話ばかり
歌い方について調べていたのに、いつの間にか筋肉にまつわるサイトに飛んで自分の納得がいくような情報が得られないと感じた事はありませんか?
例えば、あなたが自分の楽器演奏に納得いかなくて悩んだ時、より良い音を奏でるためにはどんな事を行えば良いのかを熟考すると思います。
シンプルに考えれば「譜面に沿ってひたすら練習する(「さらう」とも言います)」事が真っ先に浮かぶと思いますが、残念ながらそれだけでは上達しません。
【ギター等の竿系弦楽器の場合】
- 弦の劣化やペグへの巻きつけ方が適切か
- フレットやナット部分がすり減っていないか
- ネックの反り、ボディーにひび割れが無いか
- 右手の動きとピックアップの位置が合っているか etc. 【リード系管楽器の場合】
- 指穴に連動した金属が動かしにくくなっていないか
- マウスピースに使用するリードの厚みが自分に合っているか
- 楽譜を見ることに集中して姿勢が崩れていないか
- 肺活量を上げるトレーニングや息の吹き込み方を変えてみる etc.
このように楽器の構造や仕組みをある程度把握できていれば改善に向けた様々なアプローチが次から次へと思い浮かんでくるのです。
では「体が楽器」とも言える歌声で悩んでいた場合の「静のアプローチ」を考えていくとしたら一体どのようなものが思い浮かぶでしょうか。
- 正しい姿勢ができているか
- 体が温まって歌う準備ができているか
- 喉の周りの筋肉を鍛えてみる
- 筋肉の連動を意識しながら体や顔のストレッチしてみる etc
あまり思い浮かばなかった方も、体の構造や仕組みを把握する事でより良い歌声が出せるようになるためにどのようなアプローチが必要かきっと見えてくるようになるはず。
必ずしも全てのアプローチが自分に合っているとは限りませんが、浮かんだ方法をどんどん実践してみてください。
このように、突き詰めていくと筋肉の話に行き着くのは自分の体と筋肉についてもある程度知っておく事で歌声が上達するチャンスの幅が増えるといったメリットがあるからなのです。
「天然orしったかミックス」の存在
元々の声質でミックスボイスが出せてしまう「天然ミックスボイス」と呼ばれる人がいます。
自分が赤ちゃんだった時に「話し方や言語」は大人から教わったと思いますが、「声の出し方」を教わったという方はまずいませんよね。
声の出し方は自力で習得するものなので発声方法にも自ずと個性が出てくるのです。
もちろん元々の声帯の長さなども関係してきますが、基本的には乳幼児期に発音を覚えていく過程で自然発生的にミックスボイスを習得していた人を「天然ミックスボイス」という呼び方で区別しています。
この天然ミックスボイスさんが「簡単にミックスボイス出せるようになりますよ!」と懸命に熱弁していたとしてもミックスボイス初心者さんにとってはイマイチピンと来ないもの。
逆説的に言えば、天然ミックスボイスである彼らも私たちミックスボイス初心者の苦労にピンと来ていないのです。
またミックスボイスが出せているか定かでは無いまま「独学でもミックスボイスがマスターできたぞ〜!」と自己流の方法を紹介してしまっている「しったかミックスボイス」さんの記事も乱雑していて、正確な情報と入り混じって情報が散らかっている状態となってしまっています。
ここから正しい情報を抜き取る作業は歌のプロでも混乱する程なのでミックスボイス初心者には至難の技と言えるでしょう。
ミックスボイスの特長
ミックスボイスというワードから何かを掛け合わせたものであろうという想像は何となくつきますよね。どのような特長があるのか、出し方のコツも含めて見ていきましょう。
広音域を網羅(残らず取り入れること)する強い発声
よく言われるのが地声の感覚のまま裏声を足したものという説。
地声は別名チェストボイスと言いますが胸式呼吸法ではなく腹式呼吸法で行います。「チェスト(胸)」という言葉を鵜呑みにして勘違いしないよう注意しましょう。
地声の高さは人それぞれ異なりおよそ1~1.5オクターブくらい。安定感のある声が出せるので、叶うのであればこの声で歌い続けたいですよね。
しかし地声のまま何となく高い声を出そうとすると冒頭で失笑の嵐になってしまったように突然パワーのないふんわりした歌い方にコロッと変わってしまうのです。その正体が裏声の一種「ファルセット」。
喉の奥をぽーっと開くことで声帯が開き、柔かい響きになるのが特長ですが、バンドサウンドなどでメインボーカルがこの歌い方をしてしまうと歌声が埋れてしまうので、ポップス業界ではほとんど用いられる事がありません。
- 地声(チェストボイス)→比較的低音向けで芯の強い発声
- 裏声(主にファルセット)→高音が出せる代わりに弱々しい発声
- ミックスボイス→中低音から高音を網羅する強い発声
鼻腔を響かせる声帯の状態
地声の感覚のまま喉を締めて無理やり高音を出そうとすると当然ながら苦しくなったり喉を痛めてしまいますよね。でも喉を痛めずファルセットにもならない発声方法がちゃんとあるのです。
それは「鼻腔共鳴」といって「50%程度の鼻声」をイメージしてみるとわかりやすいと思います。
ミックスボイスの出し方のコツ
ミックスボイスとはどういう状態なのか、実際に発声して確かめてみましょう。2点ご紹介しますがコツを掴むための方法なのでやりやすい方でチャレンジしてみてくださいね。
地声から鼻声へ移行する
- リラックスした状態で「Na〜」と地声で発声
- 舌の中心を少し外に押し出し、徐々に口腔の前方にNaを追い詰める
- Naの逃げ場を鼻へ持っていき、「N」を意識してもう一度「Na〜」
- 鼻にかけられるだけかけたら、50%程度の鼻のかけ方に戻す
ヒソヒソ声から発展させる
子供を寝かしつけるようなささやき声から徐々に音程を上げていく練習方法です。
なんと高音ボイスでお馴染みのマライア・キャリーやスティーヴィー・ワンダーも日常生活で実践していた練習方法なんだとか。
- 息漏れたっぷりゆったりした「さぁねんねしようね~」の気持ちで「Ha~」
- 音程を上げていき、口腔内の真ん中から前側へ、鼻・眉間に空気を響かせる感覚で「Ha~」
- 声帯を閉じるイメージでファルセット特有の息漏れを無くして「Na〜」
声色発掘で出しやすい声を探そう
ミックスボイスの特長の一つに音域の幅が広い事が挙げられていましたが、どんなにミックスボイスの出し方のコツが分かっても自分の思うように音程が取れなければ実際の歌に活用できませんよね。
声のプロ「声優・ものまね芸人」
声色操作のプロといえばやはり「声優さん」。アニメなどのサブカルチャー大国日本では多くの声優さんがご活躍されていますが、中でもとびきり声のバリエーションが豊富なお二方をご紹介します。
【山寺宏一さん】
子供向けアニメ「アンパンマン」
- めいけんチーズ
- かまめしどん
- 2代目カバオくん
- ジャムおじさん etc
1作品でなんと20役以上もの声を使い分けるという実績を持つ声優業界のレジェンドオブレジェンド
- 「新世紀エヴァンゲリヲン」加持リョウジ役 ミステリアスな伊達男
- 「アラジン」ジーニー役 陽気なランプの魔人
- 「リロ・アンド・スティッチ」スティッチ役 もはやエイリアンそのもの
どの出演作品も完成度が高く、多くのファンを魅了
山寺宏一さんの凄いところは人間や動物といった生き物の枠を超えて「世の中にある音は全て声で再現できる」と明言しているところです。
特に有名なのは携帯電話のバイブレーション音で、その再現度の高さは周りにいた人が一斉に自分の携帯電話を確認したくなる程。
劇場が始まる前にあえて行うことで「携帯電話をオフにしてね」という注意喚起を促す手段として活用する事もあるそうです。
これは山ちゃんにしかできない芸当ですよね。
【沢城みゆきさん】
- 「HUNTER × HUNTER」クラピカ役 クールな少年ボイス
- 「ルパン三世」峰不二子役 主人公ルパンを翻弄する抜群の色気
- 「デ・ジ・キャラット」プチ・キャラット役 語尾に”〜にょ”が付くキュートなキャラクター
- 報道番組「報道ステーション」冷静沈着なナレーション 等
14歳という若さでデビューし「七色の声の持ち主」と称賛される今注目の若手ママさん声優。
上記でご紹介したレジェンド山寺宏一さんからも「この人が異性でよかった。男性だったら全力で潰しにかかっていた。」と恐れられている程の逸材です。
また「声の再現を得意とするものまねタレントさん」からも声色発掘のヒントを得てみましょう。
【コロッケさん】
デフォルメも甚だしいほど面白おかしいモノマネでお馴染み。ものまねレパートリーは300を超えており、モノマネを駆使した表情筋エステにまつわる本も出版
模写する人物の特徴の一部を強調する事で、表情筋エクササイズ効果が期待できる
ちなみに、和製ビヨンセのモノマネでお馴染みのお笑い芸人渡辺直美さんは、表情筋の動きを活かしたコロッケさんの芸風に感化された事がきっかけで芸人を目指し始めたのだそうです。
【原口あきまささん】
ものまねコンテスト系ではほぼ必ずと言って良いほど上位に食い込み、コロッケ・青木隆治と並び「ものまねBig3」と呼ばれている
多くの著名人の声を徹底分析し「例えばこの人にしゃがれ声の要素を足していくと〇〇さんのようになる」といった「足し算形式」で声色を真似て使い分ける技術が巧み
タレント高田純次さんのものまねで「いーっひっひっひ。どうもキャメロンディアスです」と自己紹介をしても、元ネタが高田純次さんである事がきちんとわかるほど声真似が素晴らしい原口あきまささん。
「ねぇ〇〇さん?」と元ネタの人の名前をあげて問いかけるとパッと真似る事ができる機転の速さとその技術には脱帽です。
声帯をコントロールするには?
心臓・血管など、どんなに日々お世話になっている自分の体の器官だったとしても自分の思い通りには動かせない箇所ってたくさんあると思います。
声帯も同じく、話す時や歌う時に使われるものの意識して声帯をコントロールした事ってほとんど無いのではないでしょうか。
例えば、運転したことのない人が車のハンドル操作をしているとします。
タイヤを動かすためにはハンドルを左右へ回しますが「どのくらいハンドルを切るとどの程度タイヤが動くのか」は大きな鏡でも無い限り確認できませんよね。
車種を特定することである程度明確にできると思いますが、声帯は個人差がありますのでこればっかりは自分の感覚に全て頼るしかありません。
存在すらあまり意識していなかった声帯をコントロールしなければならない訳ですから声帯が動く感覚を掴む必要がありますよね。
どんなに「さあ動け!」と声帯に強く念じてたところで動いてくれるはずありません。なのでまずは「声帯が開いた状態」と「声帯が閉じた状態」を確認して頭と体に声帯の開閉イメージを叩き込みましょう。
- 声帯を開く→喉の奥に空洞を作る感覚で「オー」
- 声帯を閉じる→口角を真横に引っ張る感覚で「エー」
できる限りいろんな音程で行ってみましょう。喉の奥の広さが全然違う事がおわかりいただけるかと思います。
地道な努力ではありますが、この感覚を覚えて声帯の開き具合を調整していく事で様々な声色や高音にチャレンジできるようになりますよ。
まとめ
いかがでしたか?ある程度のコツは要しますが初心者でもミックスボイス習得を目指すことは可能である事がお分かりいただけたかと思います。
天然ミックスボイスの人しか歌が上手くなれないといった事は無いものの、少なからず天然ミックスさんよりも努力を要する事になるのはやむを得ないようです。
見えない器官である声帯を動かす感覚を掴むことは決して簡単ではないですが、コツを押さえてじっくり練習を重ねていく事で「私にもこんなに安定感のある高声ボイスが出せるのか!」とびっくりする日がきっとくるはずです。良い意味でコロッと別人級に素敵な歌声を目指しましょう。